尿路・性感染症
尿路感染症
尿路感染症とは、尿の通り道である尿道や膀胱、腎臓などに細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。感染の場所によって「膀胱炎」「腎盂腎炎(じんうじんえん)」「尿道炎」などと呼ばれます。
「排尿のときに痛みや違和感がある」「トイレに行く回数が増えた」「おしっこがにごったり臭いがきつくなる」などの症状がみられることが多いですが、最初は気づかないまま進行してしまうこともありますので、気になる症状があれば早めにご相談ください。
症状
尿路感染症の症状は、感染の部位によって異なりますが、以下のようなものがよく見られます。
- 排尿時の痛みや違和感(「しみる」「ヒリヒリする」など)
- 尿が濁っている、においが強くなる
- 排尿の回数が増える
- 残尿感(尿が出し切れずに残っている感じ)
- 下腹部の痛みや不快感
- 発熱や寒気(腎臓まで感染が広がった場合)
検査、治療
まず尿検査を行い、尿中の白血球の数や細菌を調べることで診断をします。必要に応じて血液検査・超音波検査などを行い、炎症の程度や感染部位を調べます。診断がつけば、抗菌薬(抗生物質)による治療を行います。症状がよくなり途中で薬を飲むことをやめてしまうと、細菌が生き残り再発してしまうことがあるため、薬は最後まで飲みきることが大切です。症状が軽い場合は、数日で改善することが多いですが、重症の感染症などの場合は点滴治療や入院が必要になることもあります。
主な疾患
膀胱炎
膀胱に何らかの原因で細菌が感染し炎症を起こす病気です。
症状
排尿時の痛み・違和感、残尿感、頻尿、尿混濁、下腹部の痛み、違和感、血尿
検査と治療
膀胱炎の診断には尿検査が重要です。尿中に白血球や赤血球、細菌が確認されることがあります。また、尿の培養検査を行うことで、原因となる菌(起因菌)を特定し、それに適した抗菌薬(抗生物質)を選ぶことができます。
適切な抗菌薬による治療に加え、再発予防のためにも生活習慣の見直しが大切です。
予防、日常生活での注意点
女性は尿道が短いため、膀胱炎をおこしやすい傾向があります。 膀胱炎を防ぐためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 十分な水分を摂る:排尿を促し、細菌を膀胱から排出しやすくします。
- トイレを我慢しない:尿を長時間我慢すると、細菌が繁殖しやすくなります。
- 外陰部を清潔に保つこと:特に排便後の拭き方(前から後ろへ拭く)に注意しましょう。
- 性行為後は排尿を心がける:感染リスクを下げるために有効です。
- 風邪や疲れ、ストレス、免疫力の低下などが原因になることもあります。
- 体を冷やさないようにする
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎盂腎炎は膀胱内の細菌が腎臓に逆流し、腎臓に炎症を引き起こす病気です。
症状
発熱(38℃以上の高熱が多い)、片側の背部痛、全身倦怠感、寒気など
検査
- 尿検査:尿中に白血球、細菌が出現しているか確認します
- 尿培養検査:原因菌を特定するために行います。
- 血液検査:体の炎症の程度を確認します
- 超音波検査:尿路の異常、通過障害などがないか確認します
治療
抗生剤の内服、点滴治療
急性前立腺炎
急性前立腺炎は、前立腺に細菌が感染して炎症を起こす病気です。
前立腺肥大症や神経因性膀胱といった排尿障害、尿道カテーテルの留置や経尿道的な処置などが感染の契機になることがあります。
症状
高熱、排尿時痛、頻尿、排尿困難、会陰部痛、残尿感といったものがみられます。
検査
尿検査や血液検査、状況に応じて直腸診や超音波検査を行います。
治療
抗菌薬(抗生物質)の内服や点滴治療を行います。残尿が多い場合には尿道カテーテルの留置が必要となることもあります。
精巣上体炎(副睾丸炎)
精巣上体は精巣の上部に位置する器官で、精子の通り道としての役割を担っています。
この部分に細菌が感染すると精巣上体炎となり、陰嚢の痛みや腫れ、発熱などがみられます。
若年者では、クラミジア感染症や淋菌感染症などの性感染症が原因で発症することもあります。
診断は問診や視診・触診のほか、尿検査や超音波検査などで行い、診断がつけば抗生物質の内服、点滴で治療します。
尿道炎
排尿時の痛み、違和感、かゆみ、尿が近い(頻尿)、尿道から分泌物や膿が出るなどの症状があります。
性感染症(性病)
性感染症は、性的接触によって感染する病気の総称です。普通の性交だけではなく、オーラルセックスやアナルセックスなどの性行為(粘膜接触)でも感染します。性感染症は放置すると症状が悪化したり、疾患の種類にもよりますが、深刻な合併症や不妊の原因になる可能性があります。早めに検査を受け、適切な治療を受けることが大事です。
性感染症は誰にでも起こりうる身近な病気であり、決して特別なことではありません。気になる症状がある方、検査を受けたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。
性感染症にはさまざまな種類があります。代表的なものには以下のような病気があります。
クラミジア感染症
クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる性感染症で、感染しても自覚症状が乏しいこともあるため、気づかずに他者に感染を広げてしまうリスクがあります。
男性の場合、主に尿道に感染し、クラミジア性尿道炎として発症します。
放置すると精巣上体炎に進展したり、男性不妊症の原因となることもあります。
自覚症状が乏しいこともあり、心当たりがある場合やパートナーの感染が判明した場合には、早めの受診をおすすめします。
| 潜伏期 | 1~2週間 |
|---|---|
| 症状 | 軽い尿道痛や痒み。透明〜漿液性(さらっとした)の分泌液。 |
| 検査 | 尿や分泌液のPCR検査。 ※検査結果が出るまで約2-3日間必要です。 |
| 治療 | 抗生物質の内服治療 |
※クラミジア感染症は無症状の場合もあり、感染が判明した場合はパートナーの検査・治療も推奨されます。女性の場合は、基本的には婦人科での検査となります。
淋菌感染症
淋菌に感染して起こる性感染症で、男性の場合、主に淋菌性尿道炎として発症します。 クラミジアと同時に感染していることもあります。
| 潜伏期 | 2~7日 |
|---|---|
| 症状 | 排尿時の強い痛み、尿道から膿がでる |
| 検査 | 尿や分泌液のPCR検査 ※検査結果が出るまで約2-3日間必要です。 |
| 治療 | 抗生物質の点滴治療 薬が効きにくい「耐性菌」が増えており、飲み薬では治療不十分となることも多いため、基本的には点滴による治療を行います。 |
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌による性感染症で、近年、増加傾向が続いています。 陰茎、口唇などの感染部位に硬いしこりやただれのような病変ができます。 進行すると、皮膚に発疹が出現したり、治療せずに放っておくと症状が進行し、神経や心血管に異常が出現する場合があります。
| 潜伏期 | 約3週間 |
|---|---|
| 症状 |
梅毒は感染後の時期によって病状が異なります。
|
| 検査 | 血液検査 ※感染早期では検出されないこともあります。 |
| 治療 | 抗生物質の内服治療 治療後は、定期的な血液検査による経過観察が必要です。 ※最近ではペニシリンの筋肉注射による治療もありますが、当院では行っておりません。 |
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによる感染によって生じる性感染症です。
発症すると性器に痛みを伴う小さい水疱や潰瘍が出てきます。
抗ウイルス薬の内服による治療を行いますが、一度感染すると体内に潜伏し、疲労が重なったときや免疫力が低下したときなどに再活性化して再発を繰り返すこともあります。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって性器や肛門周囲などに特徴的な鶏冠様の腫瘤が多発する病気です。主に性行為や粘膜同士の接触によって感染します。
特徴的な鶏冠様、乳頭状の腫瘤を視診で確認して診断し、治療は塗り薬を病変部に塗布する治療を行います。治療によって一時的にいぼが消えても、再発を繰り返すことも少なくありません。
凍結療法、焼灼術、外科的切除などは当院では行っておりませんので、必要な場合は皮膚科等へご紹介致します。
性器カンジダ症
カンジダはカビ(真菌)の一種です。性器カンジダ症は性行為で感染しますが、健常な方でも性器にカンジダを持っていること場合もあります。発症・感染には免疫力の低下や抗生物質内服など、何らかの要因がある場合がほとんどです。
症状としては亀頭、包皮のかゆみ、発赤、白いカスの付着などがみられます。
抗真菌薬の塗り薬で治療を行いますが、一度感染して発症するとなかなか除去することが困難であり、1-2か月間くらい根気強く継続的に治療を行う必要があります。
